FreeDSP SMD A/B Version 0.4 Board Building up page

A DIY Audio Processor Development Project.


(FreeDSP SMD A/B version 0.4 Board)

Introduction

ver0.1基板ではミュート用トランジスタの解除時の駆動電源回路を搭載していなかったの で小基板を作って対処したが、何枚も作るには手間がかかりすぎるのでver0.4基板を設計することにした。変更点はミュートの駆動回路が変わり、 チャージポンプ回路が追加になったのと、外部へのリセット出力の回路周辺が多少変わっただけで、他は殆ど変わっていない。 ver0.4の基板は20枚ほ ど作ったが地元のコミュニティで配ってしまったので自分が使う分しか残っていないが筆者の手元には組み立てなかったver0.1の基板が2枚ほど残ってい るので、もし欲しいという人があれば差し上げようかと思っている・・・


Parts Ordering

ほとんどの部品はver0.1からの変更ないが、チャージポンプから電源へノイズが逆流するの を懸念して電源にインダクタを入れたのと、動作状態が分かりにくかったので電源オンでLEDが点灯するようにした点が一目みて違いがわかる点であろう。  そうしている間に本来は動作温度範囲が広くて高価なはずのADAU1401(車載バージョン)がRSポンポーネンツではADAU1701よりも安く売って いるようになり、なんとほぼ千円でDSPが買える時代となってしまった!


Board Ordering

2019年4月20日に中国Elecrowに第2版の基板(ver0.4)を10枚発注した。 5枚でも10枚でも値段は同じだったけど、これを超えると一気に値段がハネ上がるのは受注競争が厳しいからこの枚数だけが安いのでしょうか?中国といえど世界と接点があれ ば 競争社会なんですね。ちなみにこの基板よりもサイズが小さいFreeUSBi基板を多数作ったときはFusionPCBの方が割安でした。面付けしても思っほ どコストが下がらないのってなんかイマイチ納得がいかないですよね。 今回は休日を挟まずにすんだので7日後に「発送したよ」とこんな画像付きでメールが届き まし た。基板の色指定は 「注意して進め」の意味で黄色にしようかとも思いましたが、楽観的に一気に青色です(笑)


そして翌日には到着!
ポイント充当を使ったので送料込み10枚で16ドル強で出来ました。
実は、この基板を発注した翌日からFusionPCBで5枚だけ部品代だけで実装してもらえ、 しかも送料無料というPCBA期間限定キャンペーンを始めてたので、思わず同じ基板をFusionPCBにも頼んでしまいました、こんなに枚数作って一体どう する んだ・・・・

Elecrowからver0.4基板が到着したので3枚ほど組み立てました。 (11th, May. 2019)

手持ちの部品を使ったので、抵抗とコンデンサのほとんどを1608 metric(0603 imperial)サイズを使用して組み立てました。その他にも220uFのケミコンがOSコンだったり、固 体コンだったりと使用部品はバラバラですが、さすがに2作目の基板なのでパターンカットや裏配 線一本も必要な く、単に3枚とも組み上げるだけで動作しました。

version 0.4基板のクローズアップ画像(クリックで拡大します)


撮影のあと、U4に付けたAD8532Aは残留ノイズが非常に多かったので退場に なりました。U4にはLME49720を実装しましたが、この代わりにはLME49860やOPA1652AIDR、ADA4075-2などの SIOCパッケージのデュアルオペアンプが使えると思います、U4の一番大きな選択のポイントは残留ノイズ。他のオペアンプは一般的なオーディオ特性 重視で選んでいけば良いと思います。12V片電源動作ですが電源的には±6V動作と同じ環境なのでLME49721とかだと最大電源電圧をオー バーしてしまうのでオペアンプ電源の耐圧には注意してチョイスしてください。 なおU3だけ向きが違うので実装には注意!



Board Test Procedure (Version 0.4)

全ての部品が実装できたら、特に狭ピッチ ICのピン間にハンダくずや導電性のゴミが 残っ ていないか拡大鏡でよく確認してみてください、意外と多くのゴミが見つかるものです。問 題なさそうだったらDC12Vで1A程度が供給できるACアダプター(φ2.1mmセンターピン+、スリーブφ5.5mm)を接続し電源を投入しま す。
基板上のLED(D5)が点灯したら電源が供給されているので、以下の電源とGND間の電圧を チェックします。


    この状態での消費電流は150mA程度です、余りに電流が多かったり極端に少なかった り する場合には、部品の実装を再点検してみてください。

ここまで問題なければJP4とJP5 にショートピンが付いていることを確認したうえで SigmaStudioを立ち上げたパソコンにFreeUSBi を繋ぎ、10PリボンケーブルでDSP基板と接続します。


以下のリンクから、テスト用のファームウェアをダウンロードしてください

ダウンロードリンク

Download: OutPutTest (20Hz Square Wave、20Hz矩形波, fs=48kHz)

Download: ThroughTest (fs=48kHz, Input0 →Output0, Input0 →Output2,  Input1 →Output1, Input1 →Output3 )

上記のファイルは圧縮されているのでSigmaStudioに読み込む前に予め解凍しておく必要があります。


PCとボードを接続

SigmaStudioで File> Open と選んでから出力動作テスト用のファームウェア“OutPutTest.dspproj”を読み込 みます、このとき Hardware Configuration タブ を選ぶとUSBInterfaceモジュールの “USB”欄の背景が緑色に なっていればFreeUSBiは認識されています。 もし赤色だったら何らかの障害でアプリから FreeUSBiが認識されていない状態ですの で、EZ-USB  FX2PL基板の電源スイッチをオンオフしたり、USBケーブルを 挿し直しても認識できない場合はWindowsのデバイスマネージャーでドライバーのインストールがされているか確認してみて下さい。

問題なくFreeUSBiとDSPボードが繋がっているようなら。SigmaStuidioで Action>Link Compile Download を実 行します。4つの出力端子には次のような20Hzの矩形波が出力されているはずです。 もし波形の上下部分が大きく傾いていたら音声カップリングのコンデンサーの容量が足 りてない可能性があります、立ち上がりと立ち下がり部分で多少リンギングが見えますが、極端に波形が異なる場合は最終段のローパスフィター部分の何かが 誤っている可能性が考えられます。

各出力の出力波形(矩形波 が上のように想定通りの波形であればLPFの動作も問題ないと思われま す)

この段階ではDSP内のRAM上で実行されているのでDSPボードの電源を落とすとプログラ ムは消えてしまいます。 問題なくボードにコードを転送でき動作したならば繰り返しすぐ使えるようにA側のEEPROMに書き込んでしまいましょう 、書き込みの方法は Hardware Configuration タブを選びAUAU1701モジュールIC1の 上(赤丸部分)で右クリックします、


開いたコンテキストメニューの中からWrite Latest Compilation to EEPROM を選ぶとEEPROMに書き込みが行えます。

同様にスルー動作テス ト用のファームウェア“ThroughTest.dspproj” をロード、コンンパイルしてから、SW1を切替えて今度はB側のEEPROM に書き込みます。

 ここまできたらFreeUSBiは必要ないので外してしまいます。プログラムは不揮発性 のEEPROMにコードが保存 されているので電源投入の度にSW1で 選んだ方の処理がスタンドアロンで実行されます。

上記のプログラムが走っていればDSPのpin16には48kHzのクロックが出力 されますから、 チャージポンプが動作してミューテイング解除用の負電源として約ー11V〜ー12Vを 出力しているはずですので。以下のポイントを測定します。

ミュートが解除され負の電圧が出力できていたら、次はオペアンプの動作点を チェックします。

ここまで来たらEEPROM B側で立ち上げて実際にADC→DACのスルー動作を行い ADCを含めたオーバーオールの性能を確認します、 最後に2Vrmsのサイン波を入力し各チャンネルのゲインや最大出力レベルの歪みを確認します。

アナログ入出力までの基本動作の確認は以上でおわりです。



Hi-Resolution Mode Test

ハイレゾとの違いなんてどうせ聞こえないんだから関係ないだ ろ?なんて声もありますが、まずは体験してみましょう・・・

ハード的に厳密にはfsが96kHzと192kHzの場合にDAC出力側のアンチエリアシン グフィル ターのカットオフ周波数を変更する必要があります、しかし以下の ファームウェアをロードするだけで雰囲気だけでもハイレゾの利点を感じることはできます。周波数特性が伸びるのは当然ですが、23.5kHz程度のサイン波や矩形波をス ルーさせて 波形を観察すればその違いは一目瞭然です。


Download Hi-Res version Through Project Files

以下にハイレゾ対応のスルー動作をするプロジェクトのサンプルを置いておきます、ダウンロード〜解 凍してからSigmaStudioに読み 込んでください。

Download; ThroughTest96k (fs=96kHz, 512 Instructions Max,  Input0 →Output0, Input0 →Output2,  Input1 →Output1, Input1 →Output3 )

Download;  ThroughTest192k (fs=192kHz, 256 Instructions Max. Input0 →Output0, Input0 →Output2,  Input1 →Output1, Input1 →Output3 )


入出力波形での比較

23.5kHzサイン波の入出力波形

Sampling Frequency
Waveform  (Orange=Input, Blue=Output)
fs=48kHz 
fs=192kHz

48kHzサンプリングでは、まるでトレモロのように周期的に振幅が変化するAM変調がかかってし まっていますが、192kHzサンプリングではそのような 現象は全く見当たりません、これは波形のピークに当たる位置にサンプリング点が存在しないために起きる現象で、48kHzの場合約20u秒おきにしかサンプリ ングできないからです。

5kHz矩形波の入出力波形

fs=48kHz
fs=96kHz
fs=192kHz

fs=48kHzでは矩形波の周波数が8kHz以上になると出力は完全なサイン波に化けてしまいます。そこま で行かない周波数の信号であっても入力された波形がどれぐらい忠実にDAC側で再現されるかの違いを見て欲しい、単にサンプリングされる点が増えたという以上に波形の形そ のものに大きな違 いがあることに気づく事でしょう・・・


周波数特性の比較

48kHzサンプリング時の周波数特性

96kHzサンプリング時の周波数特性

192kHzサンプリング時の周波数特性


当然ですがナイキスト周波数以上は通過できません、Analog Discovery2の14bit分解能での測定なのであまり低いレベルまでは見えませんが、この結果を見る限り折り返しやエリアシング抑制等も問題ないレベルに抑えられ ているようです。


LPF定数と周波数特性の比較

前項ではエリアシング有無と帯域外ノイズのチェックを目的に測定したので、細かい周波数特性のうね りは分かりませんでした、そこでFRAplusを使って、もっと細かい偏差をチェックしてみます、同時にLPFのQを変えて肩特性をいじった場合の特性の違い も測定してみました。

192kHz動作でのADC→DAC周波数特性(実測)

この測定では出力段のLPFの抵抗(R58, R52, R39, R33, R24, R21, R7, R3)の値を変更した場合を重ねて表示しています(左下の凡例を参照)

48kHz動作でのADC→DAC周波数特性(実測)
18kHz付近にある0.5dB程のリップルは192kHz動作では見当たらないため、チップ 内蔵コーデック のデジフィルの特性によるもののようです。アンチエイリアスフィルターは次数が低いLPFのためややダラ下がり傾向の肩特性です、個人的には音色的な理由からLPFに高い Qを設定するのは好みではありませんが、この程度であれば入出力周波数特性を優先させる ために出力段 のLPFの抵抗を1.3kΩ〜1.5kΩに交換してみるのもアリかと思います、僅かな違いかもしれませんが可聴帯域内で0.4dB程違うので、それなりの耳 とシステムで聴けば確実に差は判るくらいの違いなので試してみる意味はあると思います。




いまのところボード単品であれば特に問題なく使えていますが、細かく観ていくと私 が気づいていない 不具合がまだ残っている可能性はありますので、そのときはこっそりと教えてやってください・・・・・

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