広帯域をカバーする受信機ができたところで、アンテナを用意しない事には何も受信できないので、なるべく小型で安価にゲットできるものを模索します。
FMラジオから、エアーバンド、VHF帯を一本でカバーできるアンテナと言えば、
今も昔も「
ロ
グペリ」と「
ディ
ス コーン」が双璧でしょうが、回転機構をつけたり大げさで目立つのを避けたかったので、車載用の
Diamond
社製マルチバン ドホイップ
NR950Mを
購入して軒先に設置しました。 比較的高ゲインでノンラジアルタイプなのでモバイル用なのです
がグランドプレーンが不要なため楽に設置することができました。
このホイップ一本でどのくらい受かるのかというと、私のロケーションにおける29MHz〜1GHzの受信状況は以下のようなものでした(平地2階の軒先
RTLSDR
Scanner使用)
FM放送は実用レベルでステレオ受信が可能、-47dB付近の信号までなら問題なく良好に受信できています。
NanoNVAによるVSWRの測定
送信する訳ではないのであまりSWR値を気にする必要はないのですで、一応マルチバンドア
ンテナと銘打って売ってる商品なのでnanoNVAを手に入れたついでに測定してみました、この測定はS11モードで1MHz〜1GHzのVSWR表示の
みで受信機端で測定。
こんな便利なものが数千円で買えるなんで便利な時代になったもんですね、半世紀前に少年の
私がこれ持ってたらディプメーターなんか放り出していろんなアンテナ作りに熱中してたと思います。測定値をみると確かに144MHz帯と430MHz帯を
意識しているアンテナのようですが、送信するとし たら少しエレメントの調整が必要そうです。
キャリアのある人ほど「こんなサイズで長波帯が受信できんの?」と真顔で言ってしま
いそうな電界タイプのアンテナ『
PA0RDT」
通称Mini
Whipを作ってみました。 最初はオリジナルどおりの部品で忠実に作ってみたのですが、後でHFコンバーターやBPFを追加したため挿入損失を補う目的
を兼ねて初段で20dBほどゲインを稼ぐ回 路でもう一枚作ってみました。
Build a modified PA0RDT :作成した改変版PA0RDT
生基板が手元に無かったので、アクリル板に銅箔テープを2枚貼って代用しています、完全に無指向性になるようにアクリル棒とか樹脂製のパイ
プの内側に貼ってフタをしてしまうほうがいいかもしれません。電子回路はユニバーサル基板上に組んでから銅箔テープに基板の四隅を直接ハ ンダで 固定
しました、非常にコンパクトですが確かにコレで受信可能です。
オリジナル版の回路だと初段がソースフォロワーで次段がエミッタフォロワーなので電圧的にはゲインが無いように見えますが、電力的に見れば低インピーダ ン
スに変換しているのでゲインが存在しています。
今回は更に電圧的にもゲインを持たせてより感度を上げようと初段の回路をソース接地回路に変えてみまし
た。 手持ちの低周波用の石だけで作ったので20MHzぐらいから上の周波数ではやや特性が落ち込んでいます、気になる場合は後段の
エミッタフォロワーを2SC2926辺りにすればもう少し広帯域な特性になるはずです。
注意すべき点として、初段で電圧ゲインを稼いでいる関係から強電界で使用した場合に振幅が大きすぎて飽和してしまう可能性がありますので、そのような場合に
はオリジナル版PA0RDT(電圧ゲイン=0 dB)の回路を使用して、
さらに本回路をBPFの後段へ挿入するようにすれば飽和は避けられるかと思います。 非常にハイインピーダンスな電界型アンテナなのでパソコン等の電子機器か
らのノイズを比較的拾いやすいため他の電子機器から可能な限り離して設置、もしくは小型短小なので野外の電子雑音が無いところへ持ち出して受信するのにも都合
がよさそうです。
Modified Schematic Circuit Diagram for PA0RDT(20dB Boost版)用回路図
周辺のグレイアウトした部分は回路シミュレーションのために付加したもので基板には不要です、実際に作るのは内側のハイライト部分だけです。
左側ノード(9)をアンテナプレートへ、右側ノード(5)が受信機アンテナ入力への同軸コネクターの芯線となります。
このノードでは受信機の給電アダプター(私の場合はBPFから12V電源を供給)から重畳されてきた直流12VをL2で取り出して使用します。 もし電源
のリップルや誘導ノイズの影響が低い周波数の受信で気になる場合にはC10に0.1uF
程度を実装してください、この場合には交流的な入力インピーダンスが500kΩほど下がってしまうのでR12を1.5MΩ〜2.2MΩ程度に上げれば落ち
た分のゲインが回復すると思います。
もし不幸にしてQ1が発振してしまう場合にはR16の値を上げるか、ゲインが落ちてしまいますがノード3とC4間に47Ω程度の抵抗を入れてみて下さ い。
Simulated Frequency Response
回路シミュレーターによるゲインー周波数特性
上 の結果よりフラットなのは約30kHz〜15MHz程度まででその上の周波数ではゲインが落ち込んできています、それでも40MHzで10dB程度のゲイ
ンは一応得られそうです。 500Hz付近の共振は電源畳重回路の470uHインダクターと周辺のコンデンサーの影響によるもの。
PA0RDTが電界型のアンテナで例えるならコンデンサーの電極がアンテナだったのに対し、WSMLは磁界型のループ(コイル)アンテナだと言えます。
どちらも電子的な増幅回路を駆使し非常に小さいアンテナ電極でLW帯〜HF帯までが受信可能なアクティブ型のアンテナですが、この両者は両極端といっていい位
に対照的です。 WSMLの場合、1回〜数回巻きのループコイルがアンテナ素子ですから、直流的にはショートしている訳であり非常にインピーダンスが低い信号
源なので、このような場合には電流で増幅動作をするトランジスタを使うのが順当な手段ということになります。
LZ1AQ
さんのサイトに詳しい記事がありますが、使用半導体がやや入手しにくい事とUTPケーブルで引き回す設計なので自分で作りやす
くて使いやすいようにモディファイしてみようと考えています。 変更しようと考えているポイントは以下のような点です。
- 出力を平衡UTPケーブルから不平衡同軸ケーブルに変更したい
- 使用半導体をできれば手持ちの石を使うように変更したい
- 差動回路のCMRRを微調整できるように変更したい
- 中波の強電界オバケ対策のためヘッドルームの拡大をしたい。
ループ部分は太いほうが感度が良くなるそうなので百圴ショップで売ってるフラフープに銅箔テープを貼付けて作ろうと思っています。まずは、準備段階として回路
シミュレターに差動回路の片側だけを入力して、いろいろと設計変更しながら事前検討することから始めてみます・・・・
まずは、回路の設計シミュレーションから。ネットの書き込みを見ると比較的強電界に弱いとかスプリアスが受かってしまうとかの書き込みをよく見かけるので、余
りゲインを稼ぎすぎないほうが良いのかも知れないけど。まずは一度作ってみないことには本当はどうなのか判らないので、まずはざっと思いついた点を変えてシ
ミュレーションしてみた、とりあえず以下のような回路で一旦試作してみる事にしよう。
Modified Schematic Circuit Diagram for WSMLアンテナ用プリアンプ回路図
回路シミュレーションで得られた特性は以下の通りでした。
Simulated Frequency Response
回路シミュレーターによるゲインー周波数特性
課題として、電源の供給方法と出力の50Ω化が当面の課題だ、後者は出力トランスを2:1の巻線比にすることで対処するとして、UTPケーブルを使わない場合
の電源の供給方法は設置の難易度にも関わってくるので良く考えたほうが良さそうだ。
(以下 工事中)