Band-Pass Filter Project

そもそも、なぜBPF(Band Pass Filter:帯域通過型フィルター)が必要になったのかというと、一番の理由はSDRもそうですがダイレクトコンバーション系の受信機は受信したい周 波数から遠く離れた周波数の電波が折り返してきてとんでもない受信周波数でいわゆる「ゴースト」とか「オバケ」と 言われるイメージが受信できてしまう問題があります、 (例えば短波帯でFM放送が受かってしまう現象が起きてしまいます)。
 このような不都合を避けるために受信したいバンドの電波のみを通すBPFを挿入することで障害を回避する訳です。 副次的な効果として広い周波数に渡って 分布するノイズも帯域外の電波と一緒にカットされてしまうので、受信するのにはより有利な環境となる訳です。
 デメリットとしては、バンド切換え操作が面倒臭いとか、挿入損失があるとかありますが、前者にはロータリースイッチ一発で簡単に切換えできるようにすることで 対処し、後者については受信ブースターやLNA段を追加するなどの方法で対処しようと思います。

不 均等なバンド幅となっていますが、第1バンドは約30kHz〜300kHzの長波帯用です、中 波ラジオ の放送波をギリギリ避けて最低でも25dB以上の減衰が得られるような帯域設定としました。 逆に第2バンドは200kHz〜約4.5MHzの中波帯メイ ンとしてなるべく広くカバーして使い勝手を優先しました。 第3バンドは短波帯用として中波ラジオ放送波の影響を避けるために最低でも25dB以上の減衰が得られるような帯域設定としました、第3バンドから上では RTLのダイレクト受信時に使うエリアシング帯域外の信号を避ける目的を優先して帯域を決定しています。具体的には手持ちの820Tのサンプリング周波数 が28.8MHzですから、バンド3ではナイキスト周波数(28.8MHz/2=14.4HMz)より下をカバー、バンド4ではナイキスト周波数〜サンプ リング周波数間のイメージ受信用、同様にバンド5は28.8MHzから上をカバーするように設計してみましたが、現実のところ28.8MHzから上の周波 数ではダイレクト受信モードは使わないので実際にBPFが必要なのかどうかは各自の受信環 境によります、FM帯の影響が深刻とかの障害が特 にないのであれば無用だし、挿入損失もありますから問題があった帯域だけ入れれば良いのではないかと思っています。 そういう意図もあって2回路6接点 のスイッチの第6ポジションはバイパス動作にしています。


実際の使い勝手を考えて、各バンドが少し多めにオーバラップするように設定していま す。
下の回路図からシミュレーションによって得られた周波数特性です。

Frequency Responce

信号源のインピーダンスを50Ωにして回路をシミュレーションしています。実際の基板 では次段(受信機)の入力インピーダンスが、回路図右端の負荷抵抗50Ωに相当するので、フィルター回路基板制作の際にはこれらの50Ω終端抵抗(R7, R2, R6, R10, R12)は不要です。 (1nF = 0.001uF = 1000pFです)

Bandpass Filter Schematics


上の回路図でアンテナに相当する信号源(左側の丸い回路記号)とGNDは必ずコンデン サで直流的に切れるような回路にしたので、アンテナへ繋がる同軸の芯線へ470uH程度のインダクター「L」を経由して直流12V電源を接続する事で、ア ンテナ に電源を供給することが可能です。 以下に電源重畳回路を含めた5バンドBPF全体のブロック図を示します。

BLOCK DIAGRAM OF BANDPASS FILTER UNIT

BPF Block Diagram

注意する点として、次段がRTLダイレクト受信機の場合、入力端子すぐのところで1: 4バランにより芯線が直流的にGNDに落ちてしまいますから、このような受信機を使用する場合には0.1uF以上のコンデンサー「C1」を芯線側に直列に 入れて電源がショートしないようにする必要があります。 使用する受信機によってはC1は不要で、単に直結するだけでいい場合もあります。
 このC1が必要かどうかのチェック方法は簡単でテスターの抵抗レンジで受信機のアンテナ端子の芯線とGND間の直流抵抗値を計ってみて、もし∞でなけれ ば直流カットの「C1」コンデンサーが必要です。 C2のパスコンは高周波特性の良いセラミックと大容量の電解コンをパラるのが理想的かと思います。


上の画像は検討過程の基板です、ベタ面GNDに 近い効果が得られるように両面スルー基板に銅箔テープを貼付けて、剥がれないようにポイントでハンダで固定しています。 両面スルーホールなので表面実装 用の部品と挿入タイプの部品を混在して実装でき非常に作りやすいのでオススメの実装方法です

バンドパスフィルターの入力部がC結合なのを利用してPA0RDTに給電する機能 を追加しました、上の画像で見える水色の470uHのインダクターがそれでDC12Vをアンテナ側へと送り且つ高周波は通さないようにするという役目を しています。

先 日、不注意で壊してしまったDBMを自作品で何とか復活させることができたのでHFコンバーター経由で、バンド1(LWバンド)での効果を見てみました、 DCの位置に見えるのはLOのフイードスルー(漏れ)信号(100MHz)、ノイズフロアの形状や中波帯のAMラジオ放送等が抑圧されていることから BPFとして動作しているのが判ります。
Compalison BPF Filtered/Nonfiltered


→メインページへ戻る(Return to Main-Page) inserted by FC2 system