3WAY SPEAKER SYSTEM EXPERIMENT (TOURAN)

先日Touranの純正スピーカーをアルパインCDA-9887Jiの内蔵パワーアンプでマルチ駆動するという実験を行い、十分な効果があったので、暫くはそれで満足していたのだが、やはり更なる世界を追求してみたいという誘惑には抗しがたく、AVフェスタの即売でピアレスの2.5"フルレンジ「830985」を売ってたのでフラフラと?衝動買いしてしまいました。 本当は2"の「830970」方が欲しかったのでけど何とかなるだろうと思ってはみたものの、やっぱり苦労するハメに....(汗)


TYMPHANY(Pireless)890985について

老舗ブランドのピアレスも今では別メーカーの一ブランドになってしまったようですが、僅か2インチ少々の超小型フルレンジと相当にチャレンジな製品を出してきました、多分薄型テレビやサラウンド用途向けのユニットのようですが4Ω仕様でVasが800ccと小さく低い方もそれなりに音量も出せそうなので、今回はTouranのダッシュボードの純正位置にインストールすることにしました。

仮付けで音出ししてみた感想は、確かに一般的な同口径のユニットとは比較にならない位に下までマトモに音が出ます、高域側も紙コーンの製品のように分割振動臭さが鼻についてガマンならない音ではなくてスッキリしてて余計な音が出ないので他のスピーカーと組み合わせても使いやすそうな印象、但し2.5インチという口径の大きさから高音域は指向性がキツく正面を外れると数kHzから上の帯域はさっぱり聞こえなくなります。 相当にスラントさせて真正面でも向けない限りツイターの追加は必須のようです。 それと気になったのがボイスコイルボビンとセンターキャップがアルミ素材である意味ドーム振動板的に働くために16kHz辺での共振がキツく10dBほどもピークが立ってて何を聴いても同じ音程で「ヒー、ひ〜」いってるような共振音が耳についてしまいます、もし2インチの830970なら振動板の質量が50%も軽いので可聴帯域外になるし高域の指向性もよりブロードになるはずなのでやっぱりそっちのほうがが正解だったような気がしてしまいました。 

上の周波数特性は搭載状態での80985測定結果(距離約5cm)で赤矢印が問題のピークです。 理想的にはヘッド内蔵のチャンデバで24dB/octのスロープで帯域分割しカットしてしまえば問題ないのですが、どうしてもインプリント機能を使えるようにしてやろうという「野望」があるので今回はパッシブで細工する必要があります。

ちなみにTouran純正のツイターの特性はこんな感じ...

foが1.2kHz程度で、特性グラフを見ると5kHz辺りから上といった感じですが実際には、ツイターが殆ど真上を向いているのを斜め横から聴くので高域が減衰しもう少し下からフラットに使えます、実際24dB/octでカットすれば2.5kHzぐらいから使えました。 まぁ ごく普通のソフトドームといった特性ですね...


ミッドレンジ用ユニットのダッシュ位置へのインストール

もともとVWの設計の段階ではダッシュにミッドレンジを付けるつもりだったのか?正確なところは判りませんが、まさに3way化にはピッタリの空きがあります。

という事で、早速ホールソーで穴開け...

ギリギリです。やっぱ2インチにすべきでした....

ユニットが入らずしょうがないので純正パネル裏側の幻のミッド用?バスケットもカットしちやいます(汗)

純正ツイターは外せないので作業中はゴミが入らないように養生テープで保護しています。

何とか力づくで付けちゃいました、あとで時間が取れたらFRPでちゃんと成形しよっと....

基本的に根性尽きてるので、2度ほど試聴して暗算と聴感で早々にパッシブネットワークの回路を決定、ダッシュの空間に押し込めるからというトンデモもない理由で6dB/octで済ませてしまいました。

ちなみにネットワークの定数はツイターに1.5uFを直列接続でローカット、ミッドに0.05mHを直列接続(インピーダンス補正なし)でハイカットする回路になっています、クロス周波数は10kHz弱辺りです。

翌日3way化したシステムの左chの音を運転席で測って周波数特性を見てみました、ネットワークのおかげで80985をフルレンジで鳴らしたときにあった16kHz付近の鋭いピークは減衰し、そのぶんをツイターがカバーしているので見えなくなっています

測定結果のように80985は中域までかなりフラットで自然な感じの音です、一方 純正ツイターは ただ鳴ってるだけというかクオリティがそれなりの音です...

きっとそのうち交換したくなる事でしょう(笑)


最後にこの3way化を行った後で現状のCDA-9887Jiのセッテイング・パラメータを書いておきます。 走行時重視の音質セッテングで聴感優先で設定してます。 スピーカーユニットは純正のままでデッドニングもしてない納車時そのままの状態です。

CDA-9887Ji Setting (Right-Handled Car, 3way Mode, Without-Subwoofer)(暫定)

Category
Parameter
Value(L)

AUDIO
Factory's EQ
User1
T.CORR Parameter
cm
Filter Type
L/R
SUBW. Phase
0
SUBW. Channel
Stereo
TW Setup
User's
EQ Mode
Parametric EQ
Subwoofer
OFF

MX
mx Mode
OFF

CTRL
BALANCE
+1
DEFEAT
OFF
MultiEQ
OFF

Category
Band
Freq.

Curve(dB/oct)

Value(L)

Value(R)

Crossover
LOW
20Hz
FLAT
0
0
MID-L
20Hz
6
0
0
MID-H
200Hz
24
0
0
HIGH
200Hz
24
-1
-1

Category
Parameter
Value

T. Correction
L-SW
0
R-SW
0
L-F
3.4cm
R-F
40.8cm
L-R
6.8cm
R-R
40.8cm

Category
Band
Gain

Freq.

Q

Parametric EQ
Band1

+4
40Hz

1.5
Band2

+2
200Hz

1.5
Band3

-2
630Hz

1.5
Band4

-1
1.2kHz

1
Band5

+2
20kHz

1

このセッティングでボーカル等センター定位の音像は、ほぼステアリング中央に定位するようになりました。 KTX-100EQを使いインプリントで設定した場合には車のコンソール中央(車両の真ん中)に定位するようになるはずなので、両者を切換比較して聴くと、その印象は相当異なると予測しています。


補足注意事項:

【インプリント】

CDA-9887Jiを使う上で、インプリント機能を使うためにはミッド以上の帯域をパッシブネットワークで帯域分割しないといけない、この場合のデメリットとしてツイターのローカットに鋭いスロープが使えないと、許容入力の小さい純正ツイターユニットに一次のネットワークではどうしても絶対的音量による音色の変化(音が小さいとモケモケになり、音量が大きくなると歪みっぽくブライトな音になる)が目立ってしまう、そのためCDA-9887Jiを3wayモードに切換えてウーハー用アンプを追加するほうが確実にベターだとは判っているけど、KTX100EQを買ってしまっている手前使わないのも悔しいという何とも情けない理由が主原因だったりするのであった・・・

【クロス周波数のセッテイング】

クロス周波数を160Hzまで落とすと音像がさらに上がりベースやキックの定位もぐっと正面にせり上がってくるがミッドの振動板の振幅大きくなるために大きな音を出すと音が濁ってしまう、クロス周波数を400Hz程度まで上げれば大音量でも音色が崩れなくなってくる、この両者の特性を天秤にかけてほどほどに妥協できるクロス周波数は大体250Hz前後であった。 但し丁度この帯域で車室形状に起因する定在波から伝達特性上のディップが生じているので、クロス周波数を200〜250Hzの間でこれをうまく避けるセッテイングが出せないか試行錯誤している状況である…


実施日 2008.Apr.29th
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