MULTI AMP DRIVE EXPERIMENT (TOURAN)


Touranで組んだシステムではリア側のスピーカーはDVDヘッドで駆動しているので、アルパインCDA-9887Jiの内蔵パワーアンプのリア側は遊んでいる状態であったが、9887Jiには内蔵チャンデバで帯域分配した信号を内蔵のパワーアンプに送って、本体内蔵アンプだけで2wayマルチ駆動するというチョイ技が使えるので、この機能を使えるようにすべくツイターまで別系統の配線を引く作業を行った、ウーハー側は純正ハーネスをそのまま使い内蔵アンプのフロント側で駆動、ツイター側は新たに敷設したケーブルを使い内蔵アンプのリア側で駆動することにした。

Touran純正のシステムはフロント/リアどちらもパッシブによる2wayスピーカーとなっています、フロントのツイターはダッシュの両端に下の画像のようなグリルがあり、ツイターにはややデカすぎるサイズのメッシュエリアが取られているが中身は...

という訳で、早速グリルの取り外しにかかります。 内張り外し工具を使いグリルを外していくのですが、 ファスナーの位置は内寄り奥に1箇所、手前に2箇所エアコンの吹き出し口と組合わさるように刺さっているので上方向に引っ張って外します、特に手前側は構造的に強度も弱くけっこうキツく勘合しているのでツメを割らないように慎重にとりはずす必要があります。

下画像のように、めでたくグリルが外れたら、

次はツイターが付いてるバッフルを固定しているトルクスねじを外します。

 上画像のバッフル裏左側にミッドレンジ?のように見えるバスケットはプラスチックのダミーで単なるフタの代わりでした。 一応スピーカーもどきの裏側はエンクロージャーっぽく成形していあるので、3way化したりSonic Designなどの比較的下低い周波数まで使えるユニットを搭載する場合にはちょっとした加工でバックキャビティを作り込めそうです。 今回はツイター用に配線を引くのでエアコンの吹き出し口まで外してしまいましたが、ちゃんと養生すれば特に外す必要は無さそうでした。

純正のネットワークは4.7uF/63Vバイポーラ電解1個でローカットする-6dB/oct仕様のようです。 ツイターユニットはBLAUPUNKT製の1"ソフトドームで公称インピーダンスは4Ω。 チャンデバでマルチアンプ駆動すれば純正パッシブより低いクロス周波数で使えるようになる(高次のスロープで使う場合)と予測し、この4.7uFにパラにコンデンサーを追加接続し容量を増やすことでパッシブ回路での遮断周波数を400Hz程度まで下げる改造を行いました。 この改造によりローカットCによる位相回転の影響も低減されます。 ちなみにトゥーラン純正のドア装着ミッドバスは上限が3kHz程度でバッサリ切れてましたので、クロス周波数3kHz以下でツイターを繋げる必要があります。

将来的にこのバッフルにあるメクラ蓋部分に2インチ程度の超小型フルレンジやミッドレンジを入れてクロス周波数を数百Hzまで下げて完全なダッシュ定位にする実験をやろうと思いついたので、簡単に寸法を測っておきました。 ちなみに考えてるユニットの候補としてはAuraSound製NSW1-205-8Aか、Peerless製830970辺りを物色中...

ヘッドユニットから引いてきた配線は赤矢印ようなルートで引き込みます、先端は純正のハーネスから来たカプラーを外した端子にハンダ付けして済ませてしまいました(汗)。 ツイターなのでケーブルは細身で手持ちがあったモンスターXPを使用。

グリルを取り付ける前に、ちょっとだけ細工を... ツイター周りのグリルの形状やメッシュ部分の影響を低減するために隙間となる空間にカーボンウール(カーボン繊維で出来たグラスウール)を充填して、回折の影響を低減することと、反射による定在波の低減を狙ってみました。 結果は 僅かに音量感が減って音がクリア(シャープ)になったのでそれなりの効果があるようです。


最後にこの改造を行った後で現状のCDA-9887Jiのセッテイング・パラメータを書いておきます。 走行時向けの音質セッテングで測定器を使用せず聴感だけで設定してます。 スピーカーユニットは純正のままでデッドニングもしてない状態です。 あとで時間をみてRTA測定等をしてみる予定

CDA-9887Ji Setting (Right-Handled Car, 3way Mode, Without-Subwoofer)

Category
Parameter
Value(L)

AUDIO
Factory's EQ
User1
T.CORR Parameter
cm
Filter Type
L/R
SUBW. Phase
0
SUBW. Channel
Stereo
TW Setup
Maker's
EQ Mode
Parametric EQ
Subwoofer
OFF

MX
mx Mode
OFF

CTRL
BALANCE
+1
DEFEAT
OFF
MultiEQ
OFF

Category
Band
Freq.

Curve(dB/oct)

Value(L)

Value(R)

Crossover
LOW
20Hz
FLAT
0
0
MID-L
25Hz
24
0
0
MID-H
2.5kHz
24
0
0
HIGH
2.5kHz
24
-1
-1

Category
Parameter
Value

T. Correction
L-SW
0
R-SW
0
L-F
3.4cm
R-F
40.8cm
L-R
6.8cm
R-R
40.8cm

Category
Band
Gain

Freq.

Q

Parametric EQ
Band1

+5
40Hz

1.5
Band2

+2
150Hz

3
Band3

+3
630Hz

1.5
Band4

+1
6.3kHz

1.5
Band5

+3
20kHz

1

このセッティングでボーカル等センター定位の音像は、ほぼステアリング中央に定位するようになりました。 KTX-100EQを使いインプリントで設定した場合には車のコンソール中央(車両の真ん中)に定位するようになるので、両者を切換比較して聴くと、その印象は相当異なります。


補足注意事項:

【インプリント設定】

CDA-9887Jiを使う上で、もしインプリント機能をオンで使う機会があるのであれば、必ずツイターが純正の接続状態にあるうちにインプリント測定/設定の作業を済ませインプリントの設定を本体に転送し終わってから内蔵アンプによるマルチ駆動の配線追加作業に入ってください、理由は後で解ったのですがインプリント機能は4.2chや4.1chのモードでは正しく4つの内蔵アンプ出力に対して機能するようですが、本体底のスライドスイッチをステレオ3wayモード側にしてしまうとリア側のスピーカー出力には一切補正がされないようです。 この状態では何度インプリント作業を繰り返しても絶対にマトモな音は出ないことがさんざん試行錯誤した後でようやく解りました....(涙) 先に、内蔵アンプ動作モードを「3WAYモード」しておいてからフロント出力にスピーカーを繋いで測定/設定をしないと、「F/R/Subモード」で設定したインプリントの設定では3WAY側に切り換えると無効になってしまいますから、インストール時に忘れずに本体底面のスライドスイッチを「3WAY」側に設定しておいてください。 なお、切り換え操作が反映されるためには一旦9887Jiの電源を落とす必要があります。

【クロス周波数のセッテイング】

クロス周波数を2kHzまで落とすと音像がさらに上がってきて好ましい方向に近づいてくるのですが、音が大きいときにツイターの歪みが非常に耳につきやすくなってしまうためこの純正ユニットでは限界のようです、同様の理由でローカットのスロープを低次のものにすると相当クロス周波数を上げないと聴くに耐えない音になってしまいます…


実施日 2008.Apr.29th
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