2WAY to 3WAY SPEAKER SYSTEM (TOURAN)

ミッドレンジユニットとツイターのダッシュ位置へのインストール

Touranのフロント側の純正スピーカーはドアに17cmのミッドバス、ダッシュに1インチのツイターという2way構成なのですが、このように まるでミッドレンジを付けてくださいと言わんばかり?の構造だったのに触発されてしまい、先日からピアレスの2.5"フルレンジ「830985」を追加し た3way化の実験を行ってきました、その結果からどうしても純正のソフトドームツイターの音質が全体的なバランスの足を引っ張ってしまっている感が強 かったので、このツイターの換装とネットワークの見直しを行うことにしました。 マルチアンプでの駆動のほうがパワーも入るし調整も簡単でいいのですが、 KTX-100EQを持っているがために、ムダとは判っていても敢えてパッシブネットワークを使った構成にすることにしました(3wayモードにするとイ ンプリント機能が使えないのが理由)


使用ユニットについて

基本的に高価なユニットは買わないでお手軽にすませようという方針なので、前に乗ってたクルマから外した Dynaudioのシステム240のユニットに換装するのが一番安上がりなんですが、外部アンプも搭載しないと十分に鳴らせない事、ツイターがソフトドー ムなのでリスナーに正面を向けないと高域の減衰が激しいので、この対策のためには「もっこし」インストールとなるため不自然さが目立つというか大袈裟に なってしまうので、ツイターにはMD100ではなくて、指向性に優れたFocal社の逆ドーム型を使うことでお茶を濁すことにしました。 もうひとつの理 由として10年以上前の話になりますが当時個人輸入したTCX-90tdxの音と指向性が余りに素晴らしくとっても気に入ったのですが、当時は Dynaudioに深く傾倒していたため両方を追い求めるのは無理と諦めて手放してしまったものの、どうしてもあの音が忘れられなくていたので、今回はそ のイメージに近いTN52を使おうと考えました。

 しかし、けっこう「高い」おまけに、単品ではなかなか売ってないということで一旦 諦めて、AuraSound NT1-204-8Dにしようかなぁと決めかけたところで、某オクに「TN57」というフォーカル公式のモデルには無い「TN52そっくりさん」のユニッ トを見つけ、価格もペアで4千円弱とチャレンジ心を煽る価格だったのでこれで行ってみることにしました。(このユニットについては後日談があるので、別 ページで書きます)

ミッドレンジは先日衝動買いしたTYMPHANY(Pireless)890985を再利用します。 これに伴い ドアのミッドバスは150Hz〜300Hz位でLPF掛けてしまうので中域までのノビは必要なく、口径の割に軽いというか明るい音がするフォーカル製では なくてサブウーハーが要らないほど重厚な音がする手持ちのDynaudio System240のウーハーを取り付けるつもりでいます(当然外部パワーアンプの追加が必要になるので今回このインストールは見送り、VW純正を制振も せずそのまま使いました、爆音で燃えたら観念して換装実施予定です♪)

これが「TN57」なる製品の梱包、製品にロゴは付いてますが、当然ながら?Focal社の保証書なんかは付いてませんでした…

一 見もっともらしくスペックとか書いてありますが....、念のため取り付け前に軽くチェックしたところ、あまりに左右の音色も能率も違うので、これじゃ 「ペア」組めないよぉってクレーム入れて代替え品を一個送ってもらいましたが、後から送ってきた物も能率こそ近いもののこれまた何れとも違う音でした、再 度交換を要求する気力も失せてしまったので、諦めてインストールにかかる事にします。


インストール作業

一 旦はFRPで「もっこしツイター台」を作ってリスナー正面を向ける事を考えてクレイワークしていたのですが、「絶対ダメ」とカミさんに拒絶されてしまった ので、ダッシュ純正位置にインストールする事にしました、せめてもの気休めという事でスピーカーバッフルの新規作成と純正グリルの開口率アップ、ユニット 裏側の内張りのデッドニングと吸音材入れ、パッシブネットワークの作成などがメニューとして浮上しました。

今回は「メタアクリル樹脂」という素材でスピーカーバッフルを作成しました。

→ コーリアン素材バッフル作成のページ

ダッシュの取り付け位置周辺は本来ツイターのみなので、ミッドレンジ追加した場合のユニットの振動による影響は全く考慮されてません。

所詮内張りだし、隙間だらけなのですが、多少でもマシにするためにアスファルト系の制振材を貼ります。 理想的にはFRPで完全なエンクロージャーを作って、ここにはめ込むのがベストだと思います。

...ということで、出来上がったボードを仮付けしてみました。

一応気休めですが、裏側(ダクト側)からも制振材を貼っておきます。

ミッドレンジ用ネットワークを作成します、下はチャンデバで切るので-12dB/octの2次LPFです。 インダクターにはフランスSolen製のリッツ線を使ったHeptaタイプ(0.22mH)を10年以上前にカナダから個人輸入した手持ちがあったのでこれを使用。

ツ イター用のネットワークはFocal TN57に付属のものを改造、バイポーラ電解コンデンサーを、これまたSolen製のポリエチレンフィルムコンとドイツ産のEROポリプロコンをパラった ものに交換、並列接続にすることでESR値がさらに下がるのでソフトな電解にくらべるとかなり「エッジが立つ」音になりました。 ちなみにオリジナルは 0.19mHのインダクターに4.7uFのバイポーラ電解コンデンサーによる2次HPFです、これを3.9uF+1.5uF(= 4.8uF)に交換しました。

ざっと組み上げてミッドレンジのインピーダンス補正の定数を検討している途中のスナップ画像、抵抗はLINXの無誘導抵抗を使用し、コンデンサーにはアタック部分を温存するため敢えてバイポーラ電解を使用。


車載状態でミッドレンジ側のインピーダンス特性を測定してみました、事情により縦軸が対数ですが補正が効いているので高域になってもインピーダンスが上昇していないのが見て判ると思います。(追記:2014年8月10日)

Impedance Curve (Compensated)

ちなみにツイターの固定は、キッチリのサイズに作ったのではめ込むだけでも一応止まりますが、振動するしエア漏れは大敵なのでシーリングに一液性のシリコンシーラントを使用し2日ほど乾燥させてから取り付けました。

この状態でのオープンエア近接での特性は下画像のような感じです。

この趣味も長年やってると、この位に部品在庫が貯まってしまうので殆ど手持ち部品でこと足りてしまいます(汗)

定 数が決まったら接触しないように熱収縮チューブとテープで絶縁処理をしておきます。 奥にみえるハモニカ端子は検討中の部品交換がラクで効率的です、低イ ンピーダンスのカー用システムの場合、みの虫クリップ程度では接触抵抗が無視できないくらいあるので、検討中との音が違ってしまうのが判ってからはもっぱ らコレを愛用してます....

最終的には以下のような回路で確定

これを左右ぶん作って車両に搭載します...

出 来上がったパッシブネットワークはTouranのダッシュボード横のドアと接する面のパネルを外した場所にインストールしました。 インダクターが鉄板に 近接すると明らかに音に歪みが増えるので、可能な限り鉄板等の磁性体から遠くなる位置でかつツイター用とウーハー用を離して取り付けます。(理想的には 20cm離したいところ...)

取り付けと配線ができたところで、ここにグリルを戻そうとしたら...

1カ所バッフルと干渉してしまっていたので、リブをニッパーでカット!

ツイターとミッドとの繋がりは搭載前に十分な事前検討を済ませていたので、取り付け後の調整は吸音処理とヘッド側の調整がメインとなります。


換装直後の感想

音 出ししてみた印象は、純正ソフトドームの時と比較して高域のアタック音のエッジが立つようになりました、そのために音の立体感が手前方向に増したのが実感 できます、トライアングルや金物をひっぱ叩いた音のアタックがグシャと潰れてた感が薄れてシャープに立ち上がるようになりましたが、同時に内蔵アンプの限 界も見えるようになりました。 指向性については「ツイターもっこし」インストールが出来なかったのでツイターの軸から60度近く外れて聴くことになって しまいますが、それでも以前の純正ソフトドームを使用してた状態と比較すれば明らかに指向性はブロードになっています、ミッドとのクロス周波数を下げたの も指向性を改善できた一因だと思います。 インピーダンス補正を入れる前は微かに聞こえた830970の高域端のダイアフラム共振は耳を近づけても殆ど気 にならなくなりました。 


CDA-9887Ji Setting (Right-Handled Car, 3way Mode, Without-Subwoofer)(工事中)

Category
Parameter
Value(L)

AUDIO
Factory's EQ
User1
T.CORR Parameter
cm
Filter Type
L/R
SUBW. Phase
0
SUBW. Channel
Stereo
TW Setup
User's
EQ Mode
Parametric EQ
Subwoofer
OFF

MX
mx Mode
OFF

CTRL
BALANCE
+0
DEFEAT
OFF
MultiEQ
OFF

Category
Band
Freq.

Curve(dB/oct)

Value(L)

Value(R)

Crossover
LOW
20Hz
FLAT
0
0
MID-L
20Hz
6
0
0
MID-H
200Hz
24
0
0
HIGH
200Hz
24
-1
-2

Category
Parameter
Value

T. Correction
L-SW
0
R-SW
0
L-F
0
R-F
71.4cm
L-R
13.6cm
R-R
44.2cm

Category
Band
Gain

Freq.

Q

Parametric EQ
Band1

+4
50Hz

1.5
Band2

+1
150Hz

3
Band3

-1
500Hz

3
Band4

-1
1.2kHz

1.5
Band5

+2
20kHz

1

(Setting @ 30th, Aug. 2009更新)

こ のセッティングでボーカル等センター定位の音像は、ほぼタコメーターの少し上に定位するようになりました。 KTX-100EQを使いインプリントで設定 した場合には車のコンソール中央(車両の真ん中)に定位するようになるはずなので、両者を切換比較して聴くと、その印象は相当異なると予測しています。


補足注意事項:

【インプリント】

CDA-9887Jiを使う上で、インプリント機能を使うためにはミッド以上の帯域をパッシブ ネットワークで帯域分割しないといけない、この場合のデメリットとしてツイターのローカットに鋭いスロープが使えないので、絶対的音量による音色の変化が (ある音量を境にブライトな音になるのが)目立っことがります、そのためCDA-9887Jiを3wayモードに切換えて24dB/octで切り、ウー ハー用アンプを追加するほうが確実にベターだとは判っているけど、KTX100EQを買ってしまっている手前使わないで死蔵しておくのも悔しいという何と も情けない心理的理由が主原因だったりするのであった・・・

【クロス周波数のセッテイング】

クロス周波数を160Hzまで落とすと音像がさらに上がりベースやキックの定位もぐっと正面にせ り上がってくるがミッドの振動板の振幅大きくなるために大きな音を出すと音が濁ってしまう、クロス周波数を400Hz程度まで上げれば大音量でも音色が崩 れなくなってくる、この両者の特性を天秤にかけてほどほどに妥協できるクロス周波数は大体250Hz前後であった。 但し丁度この帯域で車室形状に起因す る定在波から伝達特性上のディップが生じているので、クロス周波数を200〜250Hzの間でこれをうまく避けるセッテイングが出せないか試行錯誤してい る状況であるが、クロス周波数を動かすと同時に位相も大きく回るのでTimeCorrectionを含めてセッテイングをやり直す必要が生じてくる…


実施日 2008.Jul.12th

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