T/Sパラメーター(Re ,Fs, Qes, Qms, Qts) を調べる

ステップ１ 「周波 対 インピーダンス特性を測定する」

まず最初に、フリーエア状態で測定したインピーダンス特性カーブとT-Sパラメーターの関係を下図に示しておきます

（参考文献：Joeseph D'Appolito著 "Testing Loudspeakers"）

ステップ2 「T-Sパラメーターを求める」

Analog Discovery2とFRAplusやS11 測定アダプターで直接インピーダンスカーブの測定値を得られる方は、上式に従って計算すれば良い訳ですが、プログラムtheile.exeは、標 準的な測定機材を使って、パラメーターを求める方のために、これらの計算を支援するものです。

測定方法：

1. テスターの抵抗値測定モードで、スピーカー単体での直流抵抗（ Re ）を測定します。
2. テスターの抵抗値測定モードで、使用する抵抗器の抵抗値（ Rs ）を測定します。
3. Theile.basプログラムに上記の値を入力します。
4. オーディオ帯域の発振器かサウンドカード出力をアンプのインプットターミナルにつなぎます。
5. 発振周波数をおおよそ 40 Hz に調整します。
6. アンプのスピーカーターミナルにテスター(交流電圧測定モード)をつなぎます。
7. Theile.bas によって与えられた値にアンプの出力電圧がなるようにゲインを調整します。
8. 以降の解説に従い、接続図のように配線をします（ここでワニクリップ等が必要となる・・・）。
   
   
9. 上図のように抵抗器Rsの片側の足をアンプのプラス側ターミナルに付けます。
10. 上図のように抵抗器Rsのもう一方の足をスピーカのプラス側ターミナルに接続します。
11. 上図のようにアンプのマイナス側ターミナルとスピーカのマイナス側ターミナルを接続します。
12. 抵抗器Rsの両端にテスターリード線を当て電圧を測定します。(交流電圧測定モード)
13. 抵抗器Rsの両端の電圧値が最小になるように、発振周波数を調整します。(SPに流れる電流が最小になる　→　SPのインピーダンスが 最大になる共振周波数に合わせます）
14. 上記の周波数（ Fs ）をTheileプログラム に入力します。
15. さらに抵抗器Rsの両端の電圧（Vm ）を測定します。
16. 続いて、抵抗器Rsの両端の電圧がTheile.basが指示する電圧になるように発振周波数だけを変化させます。
17. Fs より低い周波数に発振周波数をずらして、指示された電圧になる周波数（Fl）を測定しTheile.basに入力します。
18. Fs より高い周波数に発振周波数をずらして、指示された電圧になる周波数（Fh）を測定しTheile.basに入力します。
19. Theile.basは測定値をチェックし、エラーや極端な誤差があれば警告されます、特に問題なければ次のT-Sパラメーター値が表示されるは ずです。

パラメーター	その意味
Re	ボイスコイルの直流抵抗値
Fs	最低共振周波数
Qes	電気的 Q
Qms	機械的 Q
Qts	綜合的 Q

ステップ３ 「能率バンドワイズ積を求める」

EBP = Ｆs／Ｑes

ステップ４ 「デザインの指針を判断する」

EBP値	用途
50以下	密閉箱や４次バンドパス型
50〜90	一応なんでも可能タイプ
90以上	後面開放型や大型のバスレフ等(小型密閉箱には向かない)