ONKYO WR-BT300 "Auto Wake" Modification


イントロ:

先日、その中身を見てがっかりしたWR-BT300だが、そのハード構成や音質以上に気に入らない点があった。 それは自動スタンバイ機能もしくは自 動スリープ機能と呼ばれるもので、暫く鳴らさないでいるとすぐに寝てしまい、その度にいちいち背面のボタンを押して起こさない使えない、設定で無効にする こともできないし、使うたびにボタン押しに行かなくてはならないなんて、これでは何のためのワイヤレス接続なのか訳が判らないことだし、家の中でさえ非常 に使 い勝手が悪いが、もし車載したのならエンジン掛けるたびにボタンを押すなんてバカバカしくてやってられないだろう・・・、よってこれから買う人には 迷わずコ レにしなされと薦めておこう。

すでに、車載用の分は買い替えたので、この代物を処分する事も一瞬考えたが、居間のオーディオシステムであるB&WツェペリンミニのAUX-INに繋 いでBT対応にする余生を送らせようと思った、しかしWR- BT300は前記の通り毎回ボタンを押さないと使えない状態に なるというストレスが溜まる仕様なので、これには堪え難いものがあった。 僅かなな省エネルギーのためとはいえ毎回ボタンを押す行為 が求められるなんて許せないので、鬼っ子の私としては、こいつをいっきりイジって不眠症にして あげることにした。



解析&改造方針:

 やりたい事は二つ、

  1. 電源を入れたら自動で立ち上がるようにしたい。
  2. スリープへ移行したら、すぐに自動で動作状態に復帰するようにしたい。

そこで、注目したのはフロントにある2色LEDと、リアの操作ボタン。 このLEDは赤色点灯でスタンバイ状態、接続待ちが青点滅、接続状態で青点灯なの で、スタンバイ動作に移行(赤色LEDが点灯)したのを検知したら自動でボタンを押すのと同等の操作をするようにすれば2番目のほうは実現できそう。 ちなみ にLEDのほうは赤LED点灯時には LEDのカソード側がDGNDに引っぱられるという構成で、Lレベルで点灯するという仕様であった。

 ボタン周りの回路を調べてみたところ、このボタンは通常DGNDへプルダウンされており、ボタンが押されている間だけ+3.3Vに引っぱられるようになっ ていた。 よって 「ボタンを押す」に相当する操作は、このセンス線をMOS-FETで3.3V電源回路へ引っぱることで実現できそうだ。 しかし現実には自 動化するのはそうそう簡単な話でもなくて もし、電源投入時にボタンを押したままの状態だと、BTのペアリング動作に突入してしまうので毎回ペアリングするは めになる、そこで電源投入直後だけは赤LEDが点灯していてもボタ ンを押さないような回路にする必要がある。 言い換えると電源投入か ら少し遅れてボタンを押す操作をする必要があるので、例えば8ピンの PICマイコンとかで遅延タイミングを作ってボタンを押す操作をエミュレートするようにしてもいいが、今回はもっとアナログチックな回路でも出来そうな気がした、そこで暫 く考え抜 いたあげくに編み出した回路は以下に示すようなMOS-FET一石だけという実にシンプルなものであった。




回路構成:

WR-BT300との接続は、+3.3V電源(2)、Tact-SWの接点(3)、赤LED のカソード側駆動回路(1)、以上の3箇所のみと非常に簡単です。 

以下にWR-BT300不眠症化(自動ウエイクアップ)アダプタ基板の全回路図を示します。

上の回路図で、2番端子をVDD(+3.3V)、3番端子をボタンのセンス線、1番を赤LEDのカ ソード側(アクティブL)に接続します。 使用部品にはそ れほどシビアではなくて構いません、MOS-FETはVGSが1.8V程度 でオンするものなら何でもOKですし、ダイオードも 1S1588とかの汎用品Siダイ オードでOKです。 10uFのコンデンサーは小型の物であれば無極性セラでもケミコンでも何でも可

動作解説:

電源投入の際には10uFのコンデンサー(C1)がチャージされるまでの間はボタンには何も影響しないでひたすら待ちます。 赤LEDが点灯すると、上の回路図の1番端子 (解析回路のv(4)に相応)がLレベルになりやがて 1MΩの抵抗経由で10uFのコンデンサーが充電されて、ゲートの電圧v(3)が3.3Vから下がってくる、そしてゲートとソース間の電位差がVGSよ りも広がればP-MOSFETのソー ス〜 ドレイン間がオンするので、ドレインの電圧v(1)は上の回路図の3番端子に繋がるスイッチの接点を 上の回路図2番のソース端子(= 3.3V電源)電圧へと向かって引っぱり上げます。 1番端子の1MΩ抵抗と並列に入っているショットキーダイオードはパネルの赤色LEDが消えて1番端子が Hレベルに なったら速やかにボタン を 開放するためのものです、シユレーション結果ではv(3)の18秒のところにその効果が見れます。
なお、この回路は電源投入から約3秒、もしくは赤色LED点灯から2秒ほど遅れてボタンを押すという動作をするように設計してあるので、この回路を追加すれば 結果的にWR-BT300に 電源を繋ぐだけで自動的に立ち上がるようになります、以下に回路シミュレーターでの解析例結果を示します。

解析した回路:
Simulated Schematic
解析結果:
Simulated Results

机上の設計ができたところで、実際に作ってみました。


不眠症化アダプター基板の作成:

チップ部品を駆使して4x3のスルホール基板に回路を実装しました。 ハンダ付けが汚ないとか、こんなに詰めなくても余裕で入りますよなんてツッコミは無しです・・・


出来上がったらカプトンテープで巻いて回路を絶縁・保護します。


アダプター基板の接続:

以下にアダプター基板と配線を接続する3場所を示します。

上の基板画像にマル数字で示した箇所に以下の信号線を接続します。

    1. LEDアノード側センス線 (白線)
    2. +3.3V電源 (赤線)
    3. Tact SW接点 (黄線)


事先にアダプター基板にワイヤーを接続しておき、カプトンテープで絶縁しておきます、そして必要な長さにワイヤーを切り詰めてから下の画像のように基板と接 続します。

振動でハンダが割れて引出し線が断線することもあるので、動作するのを確認したらボンドやテープで配線を留めたほうが良いと思います。


改造結果:

電源を投入すると自動で起動しBTがスマホとリンクします、リンクが切れると青LEDが点滅し接続待ちの状態を何日でも維持するようになりました。
結果として電源を入れている限りはスリープ状態にはならなくなったので、いつでも使いたいときにスマホ側でリンクさ せるだけで即使えるようにな りました。
今回はアナログ的な回路だけで実現してみましたが、我ながら感心するくらいに簡単な回路でWR-BT300の不眠症化が実現できたと思っています。





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更新日 2014.Nov.31st

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