Dayton Audio DSP-408 4x8 DSP Signal Processor Tear -Down



Introduction

比較的リーズナブルな価格のDSPプロセッサーがDayton Audioから発売されたので、購入してみました。 通常の車載用として販売されているものは4〜6万円程もしますが、DSP-408は150ドル程度と比較的安価です、 さて その中身はどうなのか? 性能は? と気になってる方もおられると思いますので内部画像を掲載します。


Enclosure

アルミの押出材にDaytonのロゴをシルクスクリーン印刷ではなくNCフライス加工で彫り込んだ後で黒アルマイト処理されている、非常にコストがかかる仕 上げでチープな感じはしない。  白く見えるのは埃が溜まってしまっているためで印刷ではない。シャープエッジなので扱いには相応の注意が必要だがそれなりに質感が高い仕上げなの で屋内で音響機器と一緒に使用しても違和感なく使用できるであろう、底面にはゴム足も無いしネジ穴もないので自分でタップ穴を切るか足を貼り付けるなどして固定方法は一考 の必要がある。(側面にはネジを切った取り付け穴が中央寄りに2つ開いている)

Rear Panel

4つのRCA入力端子と、4chのハイレベル入力(ヘッドユニットのスピーカー線を接続する)をスライドSWで選択できるので車載でもホームのオーディオで も問題な く使用することができる。車載の場合にはACC電源連動で電源をオンオフ制御することが可能だ。


Front Panel

8つの出力端子が並ぶ、USB3.0 A形状のコネクターは専用のBluetoothドングルDSP-BT-4.0を接続するためのものだが、接続されている信号がUSBとは異なりSPI接続のため通常の USB Bluetoothドングルを挿しても全く電源も入らず使用できない。

PC Board

電源回路と入出力部分が載ったメインボードとDSPーCPUカードの2枚構成となっている、以下はメインボードの画像

この画像はDSPカードを外した状態。 画像右側に電源回路、右上に沢山ピンがあるのがハイレベル入力で専用のハーネスが付属する。 電源は内径2.1mm 太さ5.5mmのACアダプター(センター+12V)を使用。上側に4つ並ぶRCA端子が入力、下側の8つが出力となっている。左側上の黒いのは有線リモコン 用のモジュラージャック、その左は標準サイズのUSBーBコネクタでここにPC を接続して設定を行う。

左からレベル検出用?のLM393、その右ふたつは入力側の初段オペアンプでLM358だった、決して悪くない石なのだがよく使用する入力側の2ch分だけ より高性能なOPA1612Aに交換してみた


並んでいるオペアンプは出力駆動用の 5532で上側の白い 矩形の部品はミューティング用のリレー、このおかげで電源オンオフ時のポップスノイズは全く聞こえない。

PC Application

24dB/octまでのチャンデバ機能とパラメトリックEQが使用できる。スロープと周波数は独立に可変可能。 HPF/LPF設定で表示されるカーブは厳 密に周波数特性と一致している訳ではないので目安と考えた方がいいだろう。

入力と各chは完全にマトリックスが組めるので、2wayのハイレベルSP信号を混ぜて合成したり、サブウーハをモノ駆動したりすることも自在にできる。入 力の送り側で位相反転はできないので逆相でミックスしたい場合はハイレベル配線の±を入れ替えて対応することになる。 信号処理系は8系統独立に音量、最大 8mSのディレイ、位相反転/非 反転動作が制御できる、つまりは 最大で4wayのステレオ構成か、2系統の2wayシステムまで対応できるという訳である。


心臓部にあたるDSPカード、Analog Devicesの固定小数点DSP ADAU1701 通称SigmaDSPを2個使用している。左下のQFPの石はSTマイクロ製の32bitマイコン。

ADCとDACはDSPチップ内蔵のものを使用している、確認した訳ではないが1個あたり入力ADCが2ch、出力DACが4ch載っているのでステレオで 左右の石に割り 振ればクロストーク性能を稼げるものと思われる。ADC、DACともにデルタシグマ型の24ビット相当のものであり十分に高いクオリティの音が得られる。

DSPカードの裏側は部品がなく4層基板であることが見てとれる。


Remote Controller (Option)

オプション別売りの有線リモコンがあれば通常はボリュームとして動作し、ダイアルを押すことで5つまで保存した設定を切替えて使用することができる。

今回は購入しなかったので画像が無いが専用のBluetooth ドングルDSP-BT4.0が あればスマホで設定を変更したりストリーミングで鳴らしたりできるらしいので、もしDSP-408を購入するなら、このいずれか、もしくは両方を一緒に購入す る事を勧める。


Impressions

リーズナブルな価格ながら必要十分な機能と音質を有していると感じた、アナログのネットワーク回路と同様で「一度設定を決めてしまえば度々変更する必要なん てなし」とお考えならピッタリの選択となるであろう。 このDSPの石は非常に集積度が高くコストパフォーマンスに優れているし、ソフト開発も一行もコードを 書くことなしで実現することもできるので、私も自分で基板設計をして安価なDSPユニットをDIYするという構想を始めた、近いうちに紹介できると思う・・・






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