ADAT-IO-X4 I8S-ADAT INTERFACE BOARD
Introduction
FreeDSPでチャンネルデバイダーを簡単に作れるので、気軽に2wayや3wayのマ
ルチ
アンプシステムに挑戦できるが、いざ実際に家で使おうとするとDAC6チャンネル分にステレオのパワー・アンプが3台を最短距離で繋がなくてならないので、手
元に機材が溢れて非常に混みいった状況になってしまう
。 できることなら簡単なコントローラーとパワードスピーカーをケーブル1本で繋いでスマートにシステムを構築したくなってくる。LVDS伝送によるHDMIケーブルの接
続も電気的には良いのだが、3本〜4本もHDMIケーブルを引くなんていまいちお気楽さに欠ける、そこでALESSISのADATインタフェースを流用して簡
単にDSPとDACを接続することがで きな
いだろうかと考えたところで止まっていた、ある日ふとFreeDSP.ccのページを覗くと開発が頓挫してるADATインタフェースのプロジェクトがあったのに気がつい
た。FPGAを使ってス
クラッチで変調器からレシーバー/デコーダーまでを自作するという壮大なテーマだったが、大掛かりでコストも掛かるのがその理由のようだった。 そんなことを
考えていた時に、秋月電子でCoolAudio社のADAT I/Fチップを扱いだしたので、これなら簡単に作れそうな気がしたので始めることにした・・・
Design Concept
FreeDSP.ccにあった ADAT-IOのプロジェクトは6chだったので、フルの8ch仕
様で行くことにした、8chといってもI2 SバスのMCLK、BCLK、LRCKを共用してデータ線だけを4本に拡張した、所謂
I8Sと呼ばれている方式で、全てのチャンネルが同じタイミングで同期していることが条件だ。ADAU1701を 採用したFreeDSP Classic
SMD
A/Bはまさにこの方式のADAU1701という石を使っているので、専用のコネクターで簡単に繋げられるようにしたいと思った。そう思いながら他のFreeDSPのプロ
ジェクトを見てみると、Classicシリーズ最初のデザインでは1個のリボンケーブルでI8S全部の接続ができる
事に今頃になって気が付いた、こんなことなら私のデザインも同じにしておけばよかったと後悔したが始まらない・・・ 当然ながらFreeDSP規格の2chづつ独立した
16Pコネ クター接続ににも対応させることにしたので、基板の約2/3のスペースをコネクターが占める事態となってしまった。
Circuit Design
FPGAで作るのと比較したら、量的にはとんでもなく簡単にはなるけれど。 逆にチップ化され
てしまっていることで、そう自由に仕様を変えられないので、もしやりたいことで相違がある場合は回路側でなんとか問題を解決しなくてはならない、今回は大きく2つ問題が
あった。
最初の問題はチップの電源電圧であった、石の設計が古いためかDC5Vでしか動かない。今時の
DACやDSPは3.3V動作でI2 S接続が殆どなので外側の回路とは3.3Vとインタフェースする。これはDSPから来た3.3V
LV-CMOSレベルのI2 S信号を入力側がTTLレベルのゲートで受けて5Vのロジックで出力することで目的を達している。 もう一
つの問題は、このチップがEIJAの 規格とかに準拠したDAC石に多く見られるLRCKにデータの頭がジャスティファイしたタイミングの石であったこと、I2 S
のタイミングで使いたい場合が殆どなのだがフォーマットを合わせるために
FPGAやCPLDを積んでいたのでは本末転倒になってしまう、D-FFでLRCKを遅らすことも考えたが、PLLで送信クロックが作られ、光リンクで転送され、これを
PLLで同期して受信している上にさらにジッタ特性が悪化する可能性もあるし、送信側と受信側の両方で細工をしなくてはならないために基板のスペースを食うの
で、 ここは簡単に受信側だけクロック周りの位相を細工すること済ませることにした。 弊害としてはI2 S方式はMSBの頭が1ビット
遅れて始まるために、本来24ビットある データ
幅が23ビットに減ってしまう。所詮fsが固定のシステムで44.1kHzか48kHzしか使えないものだし、これでも16bitデータのCDクオリティにはまだ余分があ
る
語長なので、実用的には許せるだろうと妥協したコンセプトで回路設計を進めることにした。 具体的には下のキャプチャー画像のようにLSB側のデータが1ビッ
ト失われてしまう。
これでもDSPで極端にゲインを絞って使わない限りはあまり問題になることは無いと思うが、
どうしてもLSB側の1ビットまで余すことなく転送したいとなると、送信側ではLRCKをBCLKで1クロック分遅らせてジャストファイ形式に変換して
V1401に入力し、受信側のV1402では出てきたジャストファイ形式の信号をI2 S形式にするために、送信側とは逆にデータ線4本
を BCLKで1クロック分遅らせて出力する必要があります。もし余分なI2 S接続コネクターのスペースが自由に使えればD-FFがあ
と3個とやや部品数は 増えますが搭載は可能なので、10cm
x10cmという極端に経済的な基板サイズの制約から搭載できなかったのが心残りな点です・・・・
Schematic Circuit Diagram (ver0.2)
この基板を使用した伝送システムを簡単に図示すると次のようになります。
送信側と受信側の基板2枚をひとつの設計ファイルとして描いています。基板をVカットで分割で
きるようになっていますが。 安く上げるために、も し自
分で分割するのであれば「1ピースの基板なので、Vカット加工はしないで欲しい」とコメントを入れて発注しないと間違いなくカットされて高額な追加料金を
請求される羽目になる事でしょう・・・
いつものようにki-CADで回路図と基板を設計しました、パターン配線には
FreeRoutingを使って引いたものを少しだけ手直しています、自動配線なので部品配置には十分に時間をかけて何度も部品の向きや位置の最適化の検討を
しましたが、最終的なパターン設計はほんの数分で引けてしまいました、なんとも便利な時代になったものです。
ver0.2 Schematic (part1 of 3)
電源回路は送受信ともに同じDC5V電源アダプター仕様です。
ver0.2 Schematic (part2 of 3)
こちらが送信側の回路、HCT541で3.3V系のロジックを5V系に変換しています。ミュートとリセットのピンの変化は送信の石に反映されるように
なって います。
J9はSMUXというピンは汎用のロジック入力でユーザーが好きに活用できます。本来の目的はMIDIの信号(31.25kbpsのUART)を転送
す
るための物のようです、ビットレートの上限は確かめていませんがそこそこの速度で変化しても伝わって受信側でLEDが同期して点滅するようにしています。
ver0.2 Schematic (part3 of 3)
こちらが受信側の回路、光デジタルの信号にPLLが同期するのでクリスタル等はありません。光スルーの出力はパワードSP等で受信基板を2枚使って左右の間を
飛ば すことを想定して付けてみました。
PCB Design
基板の上面側です。
基板の裏面側です。
例によって、特価基板サイズ(10cm x 10xm)に何としても収めます。
VERSION
Date
Note
0.1
7th、Mar. 2021
Try-out version schematic & PCB
design. Pull-requested to BasssT.
0.2
1st. Aug. 2021
Initial Release Version.
Evaluation
最初のアップからだいぶ間が空いてしまいましたが、こんな感じで気が向いた時だけ細々と開発して
まし た・・・・
Test Results
入力したI2 S信号をパラってI8Sとして送信基板に入力している波形がロ
ジアナ画像の上半分です。 ADAT化された信号をTOS-LINKケーブルで転送して、受信基板から出てきたI8S信号が下半分の波形です。
有効なデータ語長が23ビットなので24ビット目のLSBの値が0になっているのが判ります。
送信基板に入力されてから受信基板から出力されるまでの間で3サンプル分の遅延が認められます、時間にして60uS程度の遅れとなりますが、音速に 換算
すると約2cm程度の遅れなので、使い方にもよりますがそれほど大きな問題にはならなさそうです。
FreeDSP Classic SMD
A/Bと接続して動作させてみました。リボンケーブル一本で送信基板と接続できます!
送信・受信基板から出てきた波形は、このようなものでした。
この基板はI6SなのでData3が空いていますが、他の6チャンネルはちゃんとI2 S
とし て伝
わっているようです。これで光ケーブル一本でDSPを手元に置いたままで、DACやデジタル接続のパワー・アンプをトランクや、リスナーから離れたスピーカー側に置いてス
マートに接続して鳴らすことができるようになりました。 元々は愛車の運転席からラゲージスペースにあるDAC群とマルチチャンネルのアンプに飛ばす目的で始
めたプロジェクトなのですが、当のクルマいじりの方は活動休止状態で自分で使う可能性は?なのが現状です、トホホ・・・・
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