(CASE: MERCEDES-BENZ C-CLASS MULTI FUNCTION CONTROLLER)
MULTI FUNCTION CONTROLLERとは:
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Introduction
- 近年の純正搭載のオーディオは、カーナビとの統合化の必要性からという理由なら理解できるにしても。 そうでないものまで、いわゆる「外せない純正オーディオ」になってしまっている車種が顕著に増えてきているような気がします。 HILOの愛車に付いてる住友製純正MMCSバカナビのように外したくなる様なものは論外だとしても、基本的に純正のシステムは操作性に優れ、ステアリングで操作できたりと、多機能で便利に造ってあるはずのものなので、できる事なら純正のヘッドを使い続けたいというケースもあるよということで、メルセデスCクラスに乗るIさんからMuti-Functionコントローラーについてどうにかできないか? と相談のメールを頂きました。
- 高級車ゆえの複雑な電装系の課題や、万一失敗した場合などのリスクを十分に納得して頂いたうえで、Iさんにはデジカメで画像を送ってもらいHILOが画像を元に回路を判読し作戦を練るという、かなり無責任な状況で改造作業を進めるという方法で作業を始めることにしました、全てのやりとりはメールで行いましたので実はHILOは実車を見てもいません(汗) しかし「なんとしても成功させたい」というIさんの熱意に助けられて、最終的に目的を達成することができました。 多大なリスクを押して改造にチャレンジされた氏の情熱には、本当に頭が下がります。
Case Study
ステップ1:ラインレベル出力改造が可能かどうか調べる
機能もてんこ盛りなら、その中身もてんこ盛りという事で、何枚もの基板がぎっしりと詰め込まれ、強制空冷のファンで回路から放出される熱を排出するようになっています。 一番上にDVDメカ、その下にナビユニット、一番下にオーディオ関係の基板という配置でした。 この段階で何枚か基板のアップ画像を撮ってもらいオーディオ基板の回路構成の見当をつけようとしました。
ステップ2:オーディオ信号経路の解析
- 画面手前がパネル側で、右側のシールドケース2つはチューナーモジュール、左手前にはマイコンとTVのダイバシティ制御回路、真ん中に音声系の回路が少しある、中央いちばん奥に見えるのがパワーアンプICで、これはヒートシンクにしっかと固定されていた。
まずはとりあえず、大抵のアンプ内蔵型ヘッドユニットは下のブロック図のような構成になっているハズなので
上の図の赤破線のところで信号を引き出すことを考えます。 具体的にはパワーアンプICの寸前から引き出すことにします。
該当する個所の基板の画像が下画像ですが、パターンを追ってみてビックリ、なんと4層基板が採用されています、恐るべしベンツ純正品のコスト投入度!
パワーICの型番を読めばwebでデーターシートが入手できる可能性があるので、そうすれば参考回路図などから簡単に入力信号を見つけることができます。 しかし今回はIC押さえの金具が基板にハンダ付けしてあったことと、プリント基板が多層のスルホール基板であったことから、基板にダメージを与えずに取り外すことは困難だと判断し、型番の読みとりを断念、 周辺の回路パターンと部品から入力ピンを推測することにしました。
ステップ3:パワーアンプ回路周辺の推測
- 送って貰った画像をもとに回路を推測します。
上図のAのポイントから引き出せば、パワーアンプを通らないラインレベルの信号が引き出せそうです、プリント基板上での引き出しポイントを下図のようにIさんに指示して、取り出された信号がどのような状況だったか結果を待ちます・・・
予測ではリア側左のホットが1番、フロント側左が2番、フロント側右が3番、リア側右が4番、信号グランドが5番です。
ステップ4:改造作業
- チップ部品で密集した基板上の部品からシールド線を4本も引き出す作業にはIさんもかなり苦労されたようです。
下の写真は基板からシールド線で配線を引き出している途中の状態
基板から引き出した線をリアパネルから出したところ。(赤矢印)
一ヶ月以上に渡る奮闘の末、Iさんは ついに目的のライン出力を取り出す事に成功されました。 ここに至るまでの労力と失敗リスクをも厭わぬチャレンジ精神で前人未踏の改造に成功された事にお祝い申し上げます。 最初に書いたように、今後ますます「外せない純正システム」が増えてくるに伴って、この手法が有用になってくるものと確信します。 でも 自動車メーカーさん、できる事なら純正ヘッドにもライン出力端子を装備してあげて欲しいものです・・・
Iさんからの追加情報によると、Eクラスに搭載のMulti Function Controllerもパネルフェースが異なるだけで、中身は同様のもの(松下製)だったそうです。
[この資料の利用上の注意事項] 本資料は純正システムへの外部アンプ取付に際して、HILOとI氏とが独自に回路及び動作等を解析して、独自にその手法を確立したものであり、その一切をメーカー等で保証するものではありません。
従って本資料に基づいて接続したり改造した際に、機器に故障等が発生したり、万一事故が生じたとしても、当方は一切関知しないものであります。
従って、改造やインストールは、あくまでも各自、個人の責任おいて行ってください。